「君もな、いろんな国を見てきてるんだろうからわかるだろうけどな、こんないい加減な国はないよな・・・」 かつて私が政治ブローカーの秘書をしていたとき、ある人が言った言葉だ。 当時の私はまだ世間知らずの青二才で、この言葉に妙な反発心を持った記憶がある。「そんないい加減さを上手く利用して、あなたはのし上がってきたくせに!」と・・・。 しかし、今になって考えてみると、この言葉の裏には深い意味が隠されていたような気がする。確かにその人はこの国のいい加減さを利用し、汚い裏の世界でのし上がってきた。でも、その人はそのことに対してやはり何か後ろめたさを感じていたのではないか?と。 人は誰でも年を取ってくると、自分の歩んできた道を振り返る。そのとき、果たして後悔のない人生だったと思える人はどれくらいいるのだろうか? お金は稼いだ、地位も築いた、・・・だから何? やはり、自分の心に素直に生きて行きたいと思う。 そして、前述の言葉の裏にはこんなメッセージが込められていたのではないかと思う。 「お前、こんな世界に入ってくるな!お前ら若い奴がこの国を変えていかなきゃと駄目なんだよ!」