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第20回 無意識の感覚

  • 執筆者の写真: Akio Sashima
    Akio Sashima
  • 2003年3月25日
  • 読了時間: 2分

かつてアメリカの大学で歴史のクラスをとっていたときのこと。 いつもどおり最前列の席で(といっても20人程度のクラスだったが・・・)、近代ヨーロッパ史の講義を聴いていた。授業が中盤に差し掛かったとき、突然、ドアを蹴破って4人組が凄い勢いで乱入してきた。 手にはライフルを持ち、頭にはストッキングを被り、ものすごい鼻息・・・。 「Don't Move !! Don't Move !!」 運が悪いことに、私は位置的にもろにライフルを突きつけられてしまう場所にいた。私の前にいるのはどうも女性らしいことはわかったが、ライフルが本物かどうかなんて当然わからない。教授は教室の外に連れ去られてしまった。 なんなんだと思っているうちに、リーダーらしき男がクラスメートの一人に声明文を手渡し「読め!」と怒鳴った。 「言論の自由は重要である!世界には自由な発言を抑制させられている人々がたくさんいる。このように力で強制させられてモノを言わされているのだ・・・・」そのクラスメートがそのへんまで読むと、そいつらは走り去っていった。 何のことはない。人権団体のデモンストレーションだったのだ。 何だよと思いつつ、我ながら結構冷静だったので「さすが日本男児!」と自画自賛していたのだが、話はそこで終らない。数日後、大学ホールでナチ博物館の館長による講演があるというので聞きにいったとき、主催の人権団体スタッフがパンフレットを配布しに回ってきた。私のところにも持ってきたとき、なぜか体が「ビクッ」と反応した。あとでわかったのであるが、そのスタッフは先日デモで乱入して私にライフルを突きつけたのと同一人物だったのである! 冷静だったはずなのに、体は何かを覚えていたのだ。 前置きが長くなったが、国際的な外交関係でも、日常の人間関係でも、無意識のうちに体が覚えているようなことが、行動に少なからず影響を与えているはずである。交渉の場でも何でも、相手の考えを理解しようとするとき、その相手の置かれている状況を教科書的に読み解こうとするだけではなく、そういう「相手も気付いていないかもしれない感覚」まで調べきって対応することができれば、百戦百勝であろう。そんなこと、できるのかどうかわからないが・・・。

 
 
 

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