ある物語。 かつて、まだ戦前の話であるが、ある地方の片田舎の学校に気骨のある先生がいた。生徒が何かしでかすと長い物差しで容赦なくひっぱたき、またあるときは思いっきり拳骨で殴る。しかし、その先生は愛されていた。なぜか?自分のクラスの生徒が他の先生に叱られていると必ず怒鳴り散らしたからである。もちろん生徒をではない。叱っている先生をである・・・。 「なんなんだ!わしの生徒がお前に叱られるようなことするわけないじゃろう!」 その先生は30年近く前に亡くなっている。 そして生徒は80近くにまでなっている。 その生徒は先生が亡くなってからも30年近く欠かさず年賀状を送り続けているという。 それほどまでに愛される先生が世の中に何人いるだろう? 話はここで終らない。 その先生の孫は今、30前後の働き盛りの若造。祖母からそんな話を聞き、生徒の連絡先を貰い、コンタクトしてみた。すると何と、田舎から遠く離れた東京のど真ん中、電車で15分程度のところにお互いオフィスを構え、同じ事業を行っていたのである! 狭い世の中・・・。 その孫に祖父の記憶などほとんどない。 しかし、祖父の教え子が目と鼻の先で同じ事業をしていたとは・・・。 そこには時代を超えたつながりがある。 人生って面白い。