留学していたときの話。 あるとき、ペンシルバニア州に大雨が降り、河川が氾濫し、多くの家屋が水没した。私の住んでいたところからはかなり離れていたので個人的には被害はなかった。 テレビでその様子を見ていたとき、加山雄三似のある男がヘリコプターで颯爽と水没現場に降り立ち、困り果てている人々に声をかけた。そしてレポーターのマイクに向かって一言。「2週間以内にみんなが元の生活に戻れるように約束する。これ以上一滴たりとも涙を流させたりはしない。」 思わず武者震い。 これぞリーダー!と思ったものだ。 ちなみにその男とは当時のペンシルバニア州知事であったトム・リッジ氏。現在はテロの後に創設された国土安全保障局の初代長官に就任している。 アメリカは言葉の国だと言われる。 リーダーとしての資質も、いかに言葉で人々を先導していけるかにかかっていると言ってもいい。 あのときのリッジ知事の一言でどれだけの人々が勇気づけられたことだろう。 もっとも言葉が全てではない。最近、街中に張られているポスターにデカデカと書かれている言葉。「元気を出そう、ニッポン!」 そこから何も感じることが出来ないのは私だけであろうか? 何かが抜けている。 何なのだろう・・・。