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執筆者の写真Akio Sashima

第70回 ロイヤルティー


いま当社クライアントが派遣社員を正社員に大幅切り替え中である。 やはりちゃんと正社員として雇い、教育を行っていかないと、組織として 綻びがでるということに気づいたらしい。 人間は機械ではない。 「あなたはこれだけやってればいい」 そう言われたら、普通それだけしかやらない。 でも自らの属する組織にロイヤルティーがあれば、 「こうすればもっと良くなるはず」 と自分で考え自分で行動する。 そんな人材のいる組織は強い。 ただロイヤルティーの本質を履き違えている人も多い。 「会社を守るため、ブランドを守るため・・・」 そんな浅はかな考えで、いつの間にか人間としての軸を見失い、 組織の奴隷と化す。 そんな人がいる組織は腐敗し、問題を引き起こす。 そして引き起こした問題を平気で隠蔽する。 人の命がかかっているのに・・・。 だから教育が必要になる。 そこで叩き込まれるべきロイヤルティーとは リーダーに絶対服従するということではなく、 間違っていることは間違っていると指摘するのが当たり前というプリンシプルだ。 と同時に組織に求められるのは、そこに属する人間へのコミットメント。 イスラエルの諜報機関モサドが世界最強といわれるのは、エージェントに何が起こっても、 死体になっても必ず取り返し、イスラエルに埋葬するというコミットメントがあるからだという。 使い捨てにされるのであれば、自らの命を懸けてまでロイヤルティーを誓ったりは出来ない。 国家でも同じ。 何があっても国民を守るのが政府の勤めなのだから、 ただ黙々とオペレーションを実行すればいい。 飛行機代を請求するとか、みみっちすぎる。 何か起きたとき、国家が何も言わずに救出に全力を挙げてくれる・・・。 そういう暗黙の了解があれば、自らの行動にも自制を加える。 それがないのであれば、国家に対するロイヤルティーなど生まれない。 国家でも会社でも組織でも、ロイヤルティーなきものは崩壊する。

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