2003年冬。ニューヨーク。 肌に突き刺すような寒風の中、俺と友人の2人は場末のダイナーの立ち寄った。 ドアを開け入った瞬間、先客たちの好奇の眼差しが一斉に俺たちに集まる。 どうやらアジア人はあまり利用しないところらしい。 目を泳がせたウェイトレスが俺たちを席に案内する。 しかし俺はその席を断り、一番奥で入り口が良く見渡せる席を要望した。 そして壁を背にして座る。 こうしておけば強盗が入ってきても、すぐに対応できるからだ。 ・・・というのは嘘で、実際は行ったのは普通のダイナー。 派手なメイクのおばちゃんウェイトレスが「ハイ!ハニー、注文は?」と陽気に声をかけてくるようなところ。 でも一番奥の席に座ったのは事実。 ただ単にそこしか空いていなかっただけだけど・・・。 その席で分厚いハムステーキを食べながら、友人とこんな会話をしていた。 「ゴルゴ13は絶対この席に座るよな。いつテロリストが乱入してきてもいいように・・・。」 「はは、アホか。」 そのとき! いきなり斜め後ろの壁が動いて、人が入ってきた。 そんなところに出入り口があるなんて気づいていなかったから、びっくり。 もともとカーテンか何かで覆われていたし・・・。 でも友人が一言。 「いまのが強盗だったら、お前が一番最初にやられるじゃん・・・。」 ゴルゴは確かにこう言っている。 「私は常に入り口が見渡せる一番奥の席にしか座らない」 でもそれは、斜め後ろに出入り口がある場合は話が別だ。 そんなの当たり前。 でも、これと似たような話は意外と多い。 それを引き起こすのは、一つの決まりがあると、 それさえ実行すれば万事OKと考えてしまうマニュアル思考だ。 それはすなわち、頭を使っていない証拠でもある。 ゴルゴの行動は、乱入者が入ってきてもすぐに察知することを目的としている。 別に一番奥の席に座ることが目的ではない。 そんなこと頭を使って考えればアホでもわかる。 だから入り口以外に、進入口がないかどうかを冷静かつ慎重にチェックするはずである。 目的は何なのか? それを常によく考えて行動しないと、何をやっても上手くいかない。
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Life is about the people you meet, and the things you create with them.
Recruiter / Japan Market Entry Consultant




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