top of page
執筆者の写真Akio Sashima

第114回 ちょっと立ち止まって考えろ!


学生時代、友人と4人でアメリカ横断をしていたときのこと。 南部のどこか(都市名は忘れてしまった・・・)で、なんかのパレードに出くわした。 とりあえず沿道で見ていると、なんだか騒がしいのが近付いてきた。 見ると、オープンカーに乗った人が何かをばら撒いている。 「なんだ、なんだ?」 と、はやる心を抑えつつ目の前に来るのを待つ。 だんだん近づいてきて、ついに前に来た。 みんな我先にと手を伸ばし、ばら撒かれている何かを掴もうとする。 大人も子どもも、黒人も白人もアジア人も・・・。 負けてはいられない。 なんだかわからないけど、とりあえず掴むしかない。 隣にいた友人の一人がついに一つを掴んだ。 「あ、チクショー、先を越された」 と思いつつ、ますます必死に掴もうとあがく。 そんな俺の隣でその友人が一言。 「なんだ、ただのアメじゃん」 「え?アメ?」 と思ったものの、でもまだ掴んでないから、くやしくてまだあがく。 そしてようやく一つゲット! ただのアメ。 そのオープンカーが過ぎ去ってから、ようやく冷静になり、あらためてマジマジとそのアメを見た。 やっぱりただのアメ。 「俺たち、こんなものになんであんなに必死になってたんだ?」 「・・・。なんか、みんなが必死だったからな」 周りのアメリカ人たちも同じ気持ちだったんだろう。 みんな連れと顔を見合わせて苦笑いしていた。 みんながやるから、自分も。 これはなにも日本人の特許ではないようだった。 最近、猫も杓子も株取引。 乗り遅れちゃ損とばかりの雰囲気だ。 本屋には「儲かるOOOO」みたいな本が山積みになっている。 本当に儲かってるのはその著者だけかもしれない。 株じゃなくて、印税で・・・。 パレードでも本当に楽しんでいたのは、あのおばさんのはずだ。 なにしろ、ただのアメに沿道の大衆が群がってきたのだから・・・。 とにもかくにも、ただのアメだけは掴まされないように、 何をするにもちょっと立ち止まって考えてみることは大事である。

閲覧数:2回0件のコメント
bottom of page