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執筆者の写真Akio Sashima

第121回 お金には気をつけろ!


先日、一仕事終えてまったりしていた午後3時ごろ、携帯が鳴った。 「OOですけど」 「・・・えっ」(OOって誰だっけ・・・?) 「OOOOのOOです」 「あーあ、こんちは」(なんだ、よくいくレストランの副支配人か・・・) 「実は佐島さん、お願いがありまして」 「はい」(また高い料金でイベント企画して客が集まらないから来いってか?) 「率直に言います。お金を貸してください」 「え・・・」 「・・・」 「なんでまた?」 「いえ、あの、家を買うんです」 「へっ・・・?」 なんでも家を買うために今日中に200万円が必要らしく、100万は親が用意してくれたので 残り100万が必要なのだという。 でも俺はただのレストランの客である。 なんで俺なのか? 「何とかお願いします」 「いや、申し訳ないけどそれは出来ないです」 「・・・そうですよね。すいません。ご迷惑をおかけしました。またレストランにお越しください」 なんなんだと思いながら 周りにいた人たちに「なんかいま、ありえない電話があった」と話すと 「それって振り込め詐欺じゃない?」 「そんなのお金がないんなら家なんて買わなきゃいいじゃない」 ごもっとも。 大体、そんな大事な電話をかけてるのに、うしろでテレビの声が聞こえていた。 ふざけている。 その後、うちに帰って一仕事していた夜10時半ごろ、また電話。 「OOです。何度もスイマセン。どうしても今日中にお金が必要なんです。 50万、いや20万でいいです。お願いします」 「いや、額の問題じゃないから・・・」 「・・・今日中にお金を用意しないと、家を差し押さえられてしまうんです」 「・・・」(差し押さえられる??何の話だ?) 「何とかお願いします。毎月小額にはなりますがお返ししますから」 「・・・いや、申し訳ない」 「・・・そうですよね・・・。そうですよね・・・。すいません、ご迷惑をおかけしました」 大体、今日中って、あと1時間半しかないのに、どういう状況なのかよくわからない。 でも、とりあえずどうしようもない。 そして後日、また電話があった。 今度は元気な声。 「OOです。佐島さん、この前はすいません!金融会社に監禁されてました」 「え、ヤクザ?」 「ハハ、まあ・・・。でももう何とか解決しましたので。本当にご迷惑をおかけしました。 今度個室を無料にさせていただきますので是非お越しください」 なるほど。 あのとき電話の後では、ヤクザがふんぞり返ってテレビを見てたというわけか・・・。 それにしてもこの人、ツイてない。 かつて首相も良く通う有名店でシェフをしていて、独立しようとイタリア人と組んで準備をしてたら 資金を全部そのイタリア人に持ち去られてしまったという悲惨な過去を持っている。 最初に会ったとき、妙に表情に影があったから、何かあるなと思っていて、 しばらく通ううちにそんな話を聞きだしていた。 たぶん今もそのときの借金が残っていて、資金繰りに窮して、変なところからお金を借りてしまったんだろう。 なんで俺に電話してきたのか知らないが、とりあえず誰かに電話しないと後から蹴りが飛んでくるので かけてきたのかもしれない。 本当に親しい友達にそんな電話をかけたら、付き合いはそこで終わる。 だから、携帯に登録してあった常連客の俺なら大丈夫という判断だったのかも。 むかしの秘書時代の話とかもしてたし・・・。 いずれにしろ、お金は怖い。 大手消費者金融なども業務停止なんかを食らっているけど、そもそも金融ビジネスなんて 品行方正に出来るわけがない。 お堅く見える銀行だって、スズメの涙の金利しかつけないくせに、 ATM利用料をぼったくり、1兆円超の利益を出している。 ふざけすぎ。 むかしからお金の切れ目が縁の切れ目という。 お金には気をつけろ! ちなみに、この副支配人は、個室無料なんかでは許さない。 デザート食べ放題なら、まあいい。

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