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執筆者の写真Akio Sashima

第124回 人生は「暗い山道」!


よく「倒産を経験していいですねー」とか言う人がいる。 いいわけない。 あんなもの経験しなくてすむなら、それに越したことはない。 なかには「やっぱりいい経験になると思うので、私も経験したいので、それっぽい会社を紹介してください」 とかいうノーテンキな人もいる。 そんな「倒産しそうな会社」に入って、実際に倒産を経験できたとしても そんなものは何の意味もない。 一生懸命に成功を信じて仕事をしていたのに倒産にあってしまったときに 何か得るものはあるだろうが、望んで経験しても得るものなどない。 先月、富士山に登ったときも同じことを感じた。 ゆっくり10時間ぐらいかけて登って ご来光が拝める頃に山頂に着こうと考えていたら、 予想以上に早いペースで登れてしまった。 しかも途中の山小屋では、ゆっくり休憩もさせてもらえない。 外のベンチに座っていると凍え死んでしまう。 だから登り続けるしかなく、強風と雨の中を必死で登り、 「何かある」と勝手に期待していた山頂に着いたら、明かりがついてるのは自販機のみ。 当たり前だ。 予定より4時間も早い深夜12時半に着いてしまったから、山小屋も何も全部閉まっていた。 しかも台風中継できそうなくらいの強風と雨。 このまままた何時間もかけて下山するのもたいへんだから、 唯一開いていたトイレの中に3時間以上も非難するハメになってしまった。 もし夜中に山頂の山小屋はすべて閉まっているとか、 今晩は山の天気は荒れるとかわかっていたら、とても登ったりはしなかった。 もしわかっていたとして、たまには辛い経験をしてみようとか思って登ったとしても 得るものは全然違う。 「頂上にさえ着けば、なにかあるはずだ」と思って必死に登り、 何もないことがわかったときの絶望感・・・。 それは一生懸命頑張って仕事をしていたのに倒産したときの絶望感と通じるものがある。 よく「若いときの苦労は買ってでもしろ」と言うが、 買える苦労なんて、たいしたことはない。 だいたい苦労しようと思ってする苦労なんて意味があるとは思えない。 遊びでも仕事でも、目の前のことを真剣にやっていれば 必ず何かしらの予期せぬ壁にぶつかる。 それをいかに乗り越えるかで、人間は成長する。 お化け屋敷に行っても、怖いことは怖いが、死ぬほど怖くはならない。 でも、暗い山道でお化けに出くわしたら・・・。 人生は「暗い山道」と同じ。 「お化け屋敷」から得るものはない。

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