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執筆者の写真Akio Sashima

マーガレット・サッチャー


これは政治に関心のない若者にも伝えたいことですが、本を読みなさい、学びなさい。ひとりひとりの人生はあまりにも短いのです。1秒たりとも無駄にせぬ努力をすることです。

政治に関心があるなら、それを深く研究し、その哲学を学びなさい。そして歴史を知ること。歴史は人類の営みが継続的かつ永続性を持っていることを教えてくれます。政治とは単に能率や効果の問題ではありません。それは、過去と未来をつなぐ橋なのです。常に過去から最高のものを受け継ぎ、それを基に未来の信条や価値観を作り上げる努力をすることです。過去の価値観や信条などは古く、あまりにも真実なためそれらは往々にして時を超越し、どんな時代でも通用します。

それから政策を考える時には常に長い目で見ること。近視眼的な政策、すぐに即効性をもたらす政策は国を誤らせるもとになりがちです。将来のためを思えば、時にはきついこと、不人気なこともせねばなりません。ここに信念の大切さがあります。甘いウソよりも苦い真実に直面できる勇気を持つこと、そしてそれを人々にぶつけられる信念と情熱を持つことです。

そしていつも互いに対する義務感を忘れぬこと。人間は自分だけの幸せを考えて生きてはいけません。われわれは皆同じ船に乗っているのですから。この船に乗っている人々が争いもなく幸せに生きていけるようにするのが政治です。

最後に肝に銘じておいて欲しいのは政治とは“人間の心”と同義語ということです。単なるロジックで政治はやっていけません。ロジックだけで人間性がなければ政治はただのいやしい権力争いになってしまいます。人間の心を持っていて初めて大いなる知恵や判断力がつくのです。

(BART 1991年6月24日号)

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